🎸 「ブルースギターの伝説」と聞いて、あなたは誰を思い浮かべますか?
エリック・クラプトン、B.B.キング、ジミ・ヘンドリックス──その中で、1980年代に突如として現れ、わずか35年の短い生涯で世界中のギタリストの心を掴み、今なおリスペクトされ続けている男がいます。
その名は スティーヴィー・レイ・ヴォーン(Stevie Ray Vaughan)。
SRVは単なる「上手いギタリスト」ではありません。
彼のプレイには、魂ごとぶつけるような情熱と、聴く人すべてをブルースの沼に引きずり込む魔力があります。
この記事では、そんなスティーヴィー・レイ・ヴォーンの 人生・音楽・凄さ を徹底解説。
これを読めば、きっとあなたは彼のギターを今すぐ聴いてみたくなるはずです。
スティーヴィー・レイ・ヴォーンとは?プロフィールと経歴
テキサスが生んだ天才ギタリスト
スティーヴィー・レイ・ヴォーンは、1954年10月3日、アメリカ・テキサス州ダラスで生まれました。
音楽一家ではありませんでしたが、彼の人生を大きく変えた存在が、実の兄・ジミー・ヴォーン。
ジミーは後にザ・ファビュラス・サンダーバーズ(The Fabulous Thunderbirds)のギタリストとして成功し、幼い頃からSRVにとって憧れであり、最初のギターの師匠でもありました。
スティーヴィーは兄の背中を追い、小学生の頃からギターを独学で習得。
10代の頃には地元ダラスやオースティンのバーやクラブで演奏するようになり、早くから頭角を現します。
彼が影響を受けたギタリストは数多く、特に以下のアーティストからブルースギターの本質を学びました。
🎸 SRVが強く影響を受けたギタリストたち
- ジミ・ヘンドリックス(最大のアイドル/精神的な師匠)
- アルバート・キング
- バディ・ガイ
- フレディ・キング
- B.B.キング
- オーティス・ラッシュ
これらのブルースギタリストからの影響に、テキサス特有の泥臭く熱いブルースロックサウンドを掛け合わせて、自分だけのスタイルを築いていきました。
※彼の半音下げチューニングはもちろんジミ・ヘンドリックスからの影響
そしてフレーズは何といってもこの人 アルバートキング このセッションを見れば
レイボーンがどのぐらいアルバートキングから影響を受けたのか一目瞭然ですね
ジミ・ヘンドリックスとの衝撃的な出会い
SRVの音楽人生を決定づけた瞬間は、13歳の頃に訪れます。
ある日、兄ジミーが家でかけていたレコード──**ジミ・ヘンドリックスの「Axis: Bold as Love」**を、スティーヴィーは何気なく耳にします。
「あの音を聴いた瞬間、世界がひっくり返った。こんなギターの音が存在するなんて、それまで考えたこともなかった。」
それはまさに雷に打たれたような体験でした。
その日から彼はジミ・ヘンドリックスのコピーに没頭し、ヘンドリックスの「Little Wing」などを完全コピーするまで練習し続けます。
この出会いが、後のSRV流ブルースロックの原点となりました。
どんなバンドで活動していたか
高校を中退後、スティーヴィーは音楽活動に専念し、いくつかのバンドで活動します。
主な参加バンド
- Paul Ray and the Cobras
- Triple Threat Revue
その後、1978年に自身のバンドStevie Ray Vaughan & Double Troubleを結成し、1983年には1stアルバム『Texas Flood』をリリース。
ブルース界に衝撃を与え、一躍スターギタリストとなります。
SRV流サウンドの秘密 〜極太ゲージの弦〜
スティーヴィー・レイ・ヴォーンのギターサウンドの核ともいえるのが、使用していた弦の存在です。
彼が使っていたのは、超極太のカスタム弦セット。
一般的なエレキギター弦の太さ(ライトゲージ)は**.009〜.042程度。
しかしSRVは、.013〜.058という超ヘヴィゲージ**を使用していました。
具体的なゲージ例:
- 1弦(高音側):.013
- 2弦:.015
- 3弦:.019(プレーン弦)
- 4弦:.028
- 5弦:.038
- 6弦(低音側):.058
さらにチューニングは半音下げ(Ebチューニング)。
このセッティングが太く粘り気のあるサウンドを生み出し、SRV独特の爆発的な音圧を支えていました。
ただしこのセットはとにかく指に負担がかかるため、本人も指先が血まみれになるほど練習したという逸話が残っています。
SRVの魂が宿った愛機「Number One」
スティーヴィー・レイ・ヴォーンのサウンドとキャラクターを象徴するギターといえば、誰もが口を揃えてこう言います。
「Number One(ナンバーワン)」
これは、彼がキャリアを通じて最も愛用した、フェンダー・ストラトキャスターの通称であり、「SRVサウンドの源」と言っても過言ではありません。
■ Number Oneの基本スペック
Number Oneは、正確な製造年は1959年〜1963年のパーツがミックスされた個体。
1959年製のボディに1962〜63年製のネックが組み合わされた、「ヴィンテージフェンダーらしい混ざりもの」です。
特徴的な仕様
- アルダー材のボディ(経年劣化で木目が美しく浮き出ている)
- ローズウッド指板のネック
- 3シングルコイルピックアップ
- スラブボード期の太めのネックシェイプ
- ペグなどの金属パーツは、ツアーによる酷使でボロボロ
- ボディトップには「SRV」の大きな白文字ステッカー
SRVはNumber Oneを、まるで自分の体の一部のように扱っていました。
ボディにはピックの当たった無数の傷、ネック裏の塗装剥がれがあり、そのボロボロ具合さえ「SRVらしさ」の象徴です。
■ Number Oneとの出会い
SRVがNumber Oneを手に入れたのは、1973年頃。
テキサス州オースティンの楽器店「Ray Hennig’s Heart of Texas Music」でこのギターを発見し、一目惚れして即購入したと言われています。
この時、すでにこのストラトは10年以上弾き込まれたヴィンテージ品でしたが、SRVはその枯れたトーンと握った瞬間のしっくり感に惚れ込み、生涯の相棒とします。
■ SRV流カスタマイズ
SRVはNumber Oneにいくつかの独自のカスタマイズを施しています。
- 「SRV」ステッカー
- ピックガードに大胆にSRVの白文字を貼り付け。
- これは当時のステージ映えを意識したものと言われています。
- ブリッジのセッティング
- トレモロユニット(ブリッジ)を限界までフラットに固定
→ ライブ中に過激なアームプレイをしてもチューニングが安定するように
- トレモロユニット(ブリッジ)を限界までフラットに固定
- 極太ゲージの弦に対応させるため、ナットやネック調整を繰り返し行っていた
- ストラップピンやペグも、ツアー中の破損で何度も交換
過酷なツアー生活と、あの強靭なピッキングに耐えさせるため、楽器としては限界ギリギリまで酷使されていたのがNumber Oneです。
■ Number Oneとともに駆け抜けた人生
SRVはステージでもスタジオでも、ほぼすべての名演をNumber Oneで録音・演奏しています。
🎧 『Texas Flood』
🎧 『Couldn’t Stand the Weather』
🎧 『Soul to Soul』
🎧 『In Step』
これらの名盤で鳴っているギターの9割以上は、このNumber One。
**「SRVのギターサウンド=Number Oneの音」**と言っても過言ではありません。
■ Number Oneの現在
SRVの死後、このNumber OneはSRVの遺族が大切に保管しています。
数年前には、**フェンダーがSRVシグネイチャーモデル(Number Oneのレプリカ)**を限定販売し、現在では中古市場でもプレミア価格がついています。
本物のNumber Oneは今でも**「世界一有名なストラトキャスター」**として、多くのギタリストに語り継がれています。すべてのステージ・レコーディングで使用しました。
突然すぎる死とその後の評価
1986年ごろ、アルコールと薬物依存に苦しみましたが、リハビリを経て復活。
1989年にはアルバム『In Step』を発表し、さらなる成功を収めます。
しかし、1990年8月27日。
ライブ終了後、帰路のヘリコプターが墜落し、35歳の若さでこの世を去りました。
その死は世界中の音楽ファンに衝撃を与え、今なお「もし彼が生きていたら…」と語り継がれています。
【伝説のライブエピソード】 歯が折れても演奏を止めなかった男
SRVのライブへの執念を象徴するエピソードとして、ファンの間で語り継がれているのが、ライブ中に歯が折れた事件です。
ある夜、SRVは激しいプレイ中にギターのヘッドが顔面にぶつかり、前歯が折れるアクシデントに見舞われました。
通常なら演奏を中断してもおかしくない場面。しかし彼は、血がにじむ口元を気にも留めず、そのまま最後まで弾き切ったのです。
彼にとってライブは「命懸けの戦場」。
1曲ごとに全てを出し切る覚悟でギターを抱えていたことが、このエピソードからも伝わってきます。
個人的に好きな映像
彼のインタビューとともに、実際にギターを弾きながらいろいろ説明してくれてます!
中でもRude Moodを引くシーンは最高に好きです!
SRVの凄さはどこにある?
魂を揺さぶるブルースギターの音色
SRVは「テクニック」よりも心で弾くことを大切にし、一音一音に感情と魂を込めました。
圧倒的なテクニックとライブパフォーマンス
彼のプレイスタイルは、
超高速ピッキング、深いビブラート、独特のフォームを駆使しながら、観客を圧倒。
SRV流「泣きのギター」とは
SRVはチョーキング&ビブラート、ハンマリング&プリングを駆使し、ギターが歌っているかのような演奏を追求しました。
SRVの代表曲・おすすめの名曲5選
- Pride and Joy
- Texas Flood
- Scuttle Buttin’
- Little Wing(ジミ・ヘンドリックスカバー)
- Riviera Paradise
これらを聴けば、SRVの魅力がすぐに伝わります。
SRVを知れば、ブルースギターがもっと楽しくなる
SRVの登場は、ブルースを再び若者に身近な音楽へと引き戻しました。
彼をきっかけにブルースギターを始めたギタリストは数え切れません。
今からSRVを聴くなら…
- 『Texas Flood』をアルバムごと通して聴く
- 「Little Wing」「Riviera Paradise」で泣きのギターを体感
- ライブ映像を観る
- 『In Step』をじっくり聴く
- ルーツとなるブルースレジェンドを辿る
まとめ|ブルースギターの入り口にSRVを
スティーヴィー・レイ・ヴォーンの音楽は、ブルースギターの魅力そのものです。
彼のギターを聴けば、ブルースが「過去の音楽」ではなく、**今も生き続ける“魂の叫び”**であることに気づくはず。
もしあなたがブルースに興味があるなら、まずはSRVのギターを聴いてみてください。
きっと、あなたのギター人生が変わるきっかけになるはずです。